シナモンガールは木製の夢を見る

今月の村上春樹

文芸春秋に連載中(?)の短編第二弾「イエスタデイ」を図書館で読みました。
かなり飛ばして読んだのだけれど。

語られない十分の九のうごめきが闇に見え、実に村上春樹らしい短編。
「フラニーとゾーイ」関西語訳の小ネタを、ここで再び登場させるとは!

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「ドライヴ・マイ・カー」村上春樹

郵便局に行ったついで、図書館で文藝春秋を探した。
目当てはもちろん、村上春樹の最新作。

短編とはいっても、どのくらいの長さなのか見当もつかない。
とりあえず、目次を見ずに読み始めた。
つまり、どのページで終わるかさっぱりわからない。
暗室のドアを探す作業にも似ている。

内容をここでは書かない。
実にあっさりした短編なのだが、終らせ方は凄かった。次のページをめくったことで、物語の終了を知った。
微少なうなり声が誰にも聞こえないことを望むばかりだった。
レイモンド・カーヴァーを思わせるところもあるけれど、やはり村上春樹としか言いようがない。

読む前と明らかに僕の組成は検証不可能に修正されている。
小説を読むくらいで、なぜこんなことが起こるのだろう。

村上春樹を呪うように罵倒する評論家、有名人をみかけたらこう考えてください。

彼らは村上春樹のデビュー以来、ひたすら怯えている。自我(わははははは)の崩壊をひたすら恐れている。
「村上より俺の方が文学に詳しいのに(!)」
「本当は俺の方がずっとずっとレベルの高い文章、小説をかけるんだ!」

僕が代弁してあげます
『俺は村上の文章能力が怖い。あの物語を引っ張ってきた根元の暗闇が怖い。助けてくれ』

僕たちリスナー、じゃなくて読者は、その底なし沼さ加減を恐れずに(もしくは恐れおののきながら)ページをめくる。
すくなくても、プロの文学評論家たちよりは勇気を持っているはずだ。

「カウカウア王のニッポン仰天旅行記」

なんやかんやで忙しく、カダーレの中央図書館に二ヶ月くらい行けなかった。
とはいっても、おつりが来るくらい凄い物件にブチ当たって、大喜び。

「カウカウア王のニッポン仰天旅行記」
訳:荒俣宏、樋口あやこ
解説荒俣宏

ハワイ王朝末期のカラカウア王が閣僚やら酔っぱらいらを引き連れて、世界一周の旅に出た。
著者は、同行者のアームストロング(ハワイ生まれの白人アメリカンで、王様の同級生、当時のハワイ国務大臣)。
(アメリカ人から見ると)ポリネシア人種の王様がところごころどうしようもなく、美化しないで書いたため、気を使って、生前には出版しなかったとのこと。

まさにズンドコ(特に酔っぱらいの荷物持ち)一座で、著者アームストロングがお笑いのプロ並にガンガン王様につっこみを入れる様が面白すぎる。王様は動じない。
日本の記述が多く、それだけでも読む価値がある。

自分の姪(カイウラニ王女、しかも王位継承者!!)を伏見宮に嫁がせて、日本と婚姻関係を持ちたいという有名なエピソードが、勿論、収録されているのだが、この時、王女はまだ5歳(!)で、山階宮定麿王は15歳だったことまでは知らなかった。
アメリカの脅威に対抗するという意味合いが大とはいえ、読んでいると、楽天的な思いつきといえば思いつきで、不謹慎ながら笑ってしまうくらいだ。しかも、その後、イギリスで同じようなことを提案している。
この時、日本がびびらずに、ハワイと兄弟国家になっていたら、その後の展開は幾分変わったのではないかとも思うが、アメリカの牙が日本をスルーして、シナの権益奪取だの西方延長に向かわなかったとは到底思えない。自称保守の連中や、左翼が『こうすれば日米決戦は回避できた』なんて本気で思っているから、どれだけ愚鈍なんだよと呆れてしまう。

まあ、そんなことはどうでもよく、残念ながら、24歳の若さで亡くなったカイウラニ王女、成人後の写真が掲載されている。凄いハワイ美人!

どこのページを抜き出しても楽しいが、日本の寺を見た王様が、ハワイを仏教国にしようと言い出したあたりには腰くだけ。


138頁
「あああ、余はもう、ちっぽけな国の王なんかになっているのはあきあきしたぞ」
わたし(アームストロング国務大臣)は答えた。
「それなら大昔のサクソンの王なんかどうですか。なんでも王位をすてて修道院にはいり、坊主になって、くる日もくる日も、牛の乳絞りをやっていたそうですよ。陛下、そうしたら本が書けますよ。タイトルは『ある国王の回想録ー王冠から牧場まで』なんていうのはどうですか」

81頁
わたしは勇気をふるって、廷臣の一人をつかまえてこうたずねてみた。ただし、失礼にあたらないよう、おそるおそる、細心の注意を払ったが。ちなみにその廷臣は、西洋の教育をうけた人物である。わたしの質問は、次のようなものだ。
「庶民だけではなく地位や教養の高い日本人も、天皇が神の子であるとほんとうに信じているのですか」
廷臣は答えた。
「当然ですよ。あなたのお国の人々も、神様がアダムとイヴを泥から作り出したと信じているでしょう。そでと同じですよ。あなたがたのキリスト教信仰では、人間はただの泥人形である、ということになっているそうですが、それに比べれば、われわれの信念のほうが、まだしも良いのではないかと思いますが」

著者アームストロングの王様を馬鹿にしきった文章にいらつく人もいるかもしれないが、この国の連中がどうだとか、あの国は全く!という記述はほとんどない。学友であり、おもりが大変で、キリスト教信仰に全く理解がなく、西洋文明それがどうしたと気楽に構える王様への愛情に満ち満ちた捧げものに他ならない。王様のことが心底大好きでなかったら、こんな本を書けるはずもない。

この本を一言で言い表すと、「アームストロング国務大臣のすべらない話」

本日、返却します。
是非、御一読くださいませ。

「冥王星を殺したのは私です」

皆様、御存じのように、冥王星は惑星の座を追われ、準惑星に格下げされました。
著者のマイク・ブラウンは天文学者にて、その一連の騒ぎの中枢というか、そのものを作り出した張本人。

タイトルの翻訳一発で、これは!と、借りてきた訳だが、予想以上に面白い。
控えめに書くが、べらぼうに面白い。

理系の専門家が書いた本だろ・・・・と敬遠する貴方は間違っている。

失敗続きのズンドコぶりを包み隠さず書きつくし、何だかよくわからないが、嫁との色気ゼロのなれそめ(及びその後)が次々挿入され、オフビート感満点。学術的価値に重きを置く意識など、ハリネズミの針ほどもない、いわば、大原家のオバQが御飯を食べたいがために御飯を食べているうちに、冥王星の外の星を見つけて、はしゃぎまくっているという、読者を想定せずに、まるで夏休み直前の小学生が書いた本にも思えるのだ。


鳥取環境大学の小林朋道(この人の本は外れがない)の動物書にも似ている。

そのうち、図書館に返すので、借りて読んでみてください。
今年読んだ本の中では暫定一位!

高校生でも十分読めます。
ちょっと賢い中学生あたりでも問題なし。

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「図説 台湾の歴史」 周 婉窈

棚で見つけ、喜んで帰ってきたのだが・・・・・・

僕のようなドシロウトでさえも、おいおいという部分がある。
一般の本読みからも突っ込まれるというのはまずいのではないか?
この分だと、日本統治時代以前の記述も(本当かどうか僕には判断つかないが)、安心して読めない。


「朝鮮では日本名への強制があった」
→思い切り嘘です。どんな本を参考にしているか、大体、想像がつく。

「今年(2005年)の8月15日で、日本の敗戦、台湾の中国への返還からちょうど干支の一巡りを迎える」
→中華民国と書かずに、わざと中国と記している?

(少数民族を除いた)台湾人を、繰り返し、漢人(漢民族の意でしょう)の後裔としている。
→台湾人が漢民族の血筋と関係ないことは、2005年あたりでは、DNAの研究により、結構知られた事実ではなかったでしょうか。

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柯徳三先生インタビュー